タイでもプレス機の特定自主検査は必要?

タイでもプレス機の「特定自主検査」は必要?
日本ではプレス機に対して年1回の法定検査が義務付けられています。一方、タイには同じ制度がありません。だから検査しなくていい、そう思っている方もいるかもしれません。
でも、プレス機を使っている以上、機械が劣化するのも事故のリスクがあるのも、日本もタイも同じです。
今回は、日本の特定自主検査とは何か、なぜタイでも同じレベルの検査をやる意味があるのかを、私たちメガテックタイランドの視点からお話しします。
そもそも特定自主検査とは
日本の労働安全衛生法に基づく制度で、動力プレス機械は年に1回、有資格者による検査が義務付けられています。怠れば罰則がありますし、もし未検査の状態で事故が起きれば、操業停止や刑事責任に発展することもあります。
日本の現場では「やるかやらないか」ではなく「やって当たり前」。それくらいプレス機には大きな危険が伴うということです。
タイには同等の法規制はありませんが、ISOをはじめとした品質・安全管理の観点から、自主的に同レベルの検査を実施する工場は増えています。法律がないから不要なのではなく、管理基準として取り入れるという考え方です。
検査で何をするのか
ひと言でいえば、検査時点でプレス機に安全上・機能上の問題がないかを確認する作業です。厚生労働省の「動力プレスの定期自主検査指針」に沿って、ひとつひとつチェックしていきます。
クラッチ・ブレーキ系統 スライドを「動かす・止める」を制御する部分。ブレーキがしっかり効くか、部品がすり減っていないかを確認します。ここに異常があるとスライドが止まらず、最も深刻な事故につながります。
スライド・駆動系 クランクシャフトやフライホイールなど、駆動に関わる部品のがたつきや亀裂を確認します。加工精度にも直結するので、品質面でも見逃せません。
電気系統 モーター、配線、操作盤の損傷や絶縁不良がないかを確認します。
安全装置 光線式安全装置、両手操作式安全装置など、作業者を守る装置がきちんと作動するかを確認します。
フレーム・ボルスター 機械本体の亀裂や変形、ボルトの緩みを確認します。
油圧・空圧系統 配管やバルブの漏れ、圧力低下を確認します。
検査結果は記録表に残し、検査済みの機械にはステッカーを貼ります。プレス機の「車検」のようなものだと思ってください。
タイに義務はない。でもリスクは変わらない
タイには日本の特定自主検査にあたる法律はありません。検査しなくても罰則はない。でも、検査しないことで起こるリスクは確実にあります。
事故のリスク ブレーキやクラッチの劣化を見逃せば、重大事故につながります。
品質のリスク 機械の精度が落ちれば、製品の寸法もばらつきます。不良が増えれば、コストも取引先の信頼も失います。
取引上のリスク サプライヤー監査で設備管理の状況を問われることは珍しくありません。検査記録の有無は、工場の管理レベルを示す指標のひとつです。
機械寿命のリスク 小さな異常を放置すれば、いずれ大きな故障になります。突然の生産停止や高額な修理費用は、検査費用の比ではありません。
メガテックタイランドの検査サービス
私たちは、日本の特定自主検査に準じた検査サービスをタイで提供しています。
日本の有資格者が常駐しています。 日本で特定自主検査の資格を取得した日本人技術者がメガテックタイランドに在籍しています。
ローカルスタッフも教育済みです。 タイ人スタッフは、その日本人有資格者から検査に関する講習を受け、社内試験に合格した者が担当します。チーム全体で検査品質を担保しています。
検査内容は日本基準。 厚生労働省の指針に基づいた項目で点検します。
記録もお渡しします。 日本式のチェックリスト形式で、本社報告や監査対応にそのまま使えます。
メーカーを問いません。 長年の取り扱い実績を活かし、さまざまなメーカーのプレス機に対応しています。
特定自主検査・修理・PM(予防保全)、それぞれの役割
よくある誤解として、「特定自主検査=PM(予防保全)」と思われているケースがあります。タイの現場ではPMという言葉が広く使われていますが、特定自主検査とPMは目的も内容も異なります。
特定自主検査は「今この瞬間の状態確認」です。 人間の健康診断と同じで、検査時点での異常を確認するものです。計画的な部品交換や保守作業は含まれません。検査後の使用過程で部品が摩耗したり、故障が発生したりすることはあり得ます。これは検査の不備ではなく、機械の性質上、避けられないことです。
修理・部品交換は別費用です。 検査で不具合が見つかった場合、その箇所をご報告したうえで修理・部品交換の見積もりをご提示します。ご承認いただいた内容のみ実施します。検査費用に修理費用は含まれていません。
PM(予防保全)はさらに別の概念です。 PMとはPreventive Maintenanceの略で、故障が起きる前に計画的に部品交換や保守作業を行うことです。検査結果をもとにPMの計画を立てることも可能ですし、PM自体をご依頼いただくこともできます。ただし、PMは特定自主検査とは別サービスとなり、部品代・作業費用は別途お見積もりになります。
よくあるご質問
Q. 検査を受けた後に機械が壊れました。検査に問題があったのですか?
検査は「その時点での状態確認」です。人間の健康診断と同じで、計器の数値、異音、振動、目視確認などから異常の予兆を見つけることはできます。検査結果でその兆候をお伝えすることも可能です。
ただし、検査時点では予兆が現れていないケースもあり得ます。そのため、検査後の使用過程で故障が発生することは機械の性質上、避けられない場合があります。これは健康診断で「異常なし」と診断された後に体調を崩すことがあるのと同じです。
もし検査後に不具合が生じた場合は、修理サービスとして別途ご対応します。まずはご連絡ください。
Q. 検査で悪い箇所が見つかったら、そのまま修理してもらえますか?
対応可能ですが、修理・部品交換は検査とは別費用になります。検査完了後に不具合箇所をご報告し、修理が必要な場合は別途お見積もりをご提示します。ご承認いただいたうえで実施します。
Q. 社内でPMをやっています。それでも特定自主検査は必要ですか?
社内PMと特定自主検査は目的が異なります。PMは計画的に機械を維持するための作業ですが、有資格者による第三者検査は「見落としがないか」を客観的に確認するためのものです。両方を組み合わせることで、はじめて管理体制として完成します。
法律がなくても、安全に国境はない
特定自主検査は、日本で多くの労働災害を経て生まれた制度です。働く人を守り、機械の状態を把握し、製品品質を支える。その目的は、国や企業の規模に関係ありません。
プレス機を使うなら、定期的な検査はコストではなく投資です。
ご相談はお気軽にどうぞ。